2016/05/18

スピーキングはリスニングに先行する

【新・英語屋通信】(73)

【Q】来月出張でシンガポールに行くことになりました。現地でのイベントスケジュールを聞くために、担当者のメールアドレスを聞いてやり取りしていたところ、先方より「メールを読んでいると英語ができそうなので、当日自分の通訳としていくつか仕事を手伝ってくれないか?もし引き受けてくれるなら、イベントのボランティアスタッフとして登録して、宿泊費はこちらで持ちます」とオファーがありました。
 当方の英語力は、読み書きはまあまあとして、聞き話すほうは海外旅行時に困らないくらいのレベルであって、通訳としての役目を果たせるかについてはあまり自信がないけど……と率直に伝えたところ、「大丈夫。スピーチの大要は事前に書いて渡すし、そんなに難しい内容ではないから。日本語・英語ともに業界用語がわかる人を探していたところだったんだ。助かったよ。じゃあ、よろしくね」と、いつの間にか引き受ける流れになってしまいました。出張まであと1か月弱、誰が何を話すかわからないので、事前に練習しようもないけど、何かトレーニングしておいたほうがいいのではないかと不安もよぎります。このような状況では、どんな予習?練習?をするべきでしょうか?
(N・T)

【A】上手な英語を話そうとしないことです。現在の実力が出れば十分でしょう。実力以上の英語を使えたらラッキーですが、奇跡に近い話です。
 言語の“最終直前目標”は「リスニング」です。相手の話が聞き取れなければ、答えようがないでしょう。相手が「何をどんなふうに話すか」わかりませんが、リスニングは脳が対応する受身の技術です。
 自分が過去に聞いたことのない“発音・単語・文型”は理解できません。聞いたことがなければ、自分で使ったことがないはずです。つまり、脳内在庫が足りないのだから、リスニングに先立って、スピーキングで「顕在意識を潜在意識化」させる学習を必要とします。ありていに言えば、リスニングよりスピーキングの練習をして、使える英語の在庫を増やすことです。実際に現場で使うと、減らない在庫が脳内に増えていきます。
 脳内倉庫を整理したいなら、ロバート・オーシュリ著『英語のゴールデン・ルール』を利用するといいでしょう。出張にはバブ・ゴーデン著『アメリカ旅行の英会話文法』を持参すると役に立つはずです
(編集部)
2016.5.18(水)